ガス溶断で使用する調整器の正しい取扱方法|事故を防ぐ3つのチェックポイントと正しい取り扱い方

ガス調整器取り扱い注意点

はじめに

高圧ガス調整器(レギュレーター)は、溶断作業や加熱作業に欠かせない重要機器です。一見すると地味な存在ですが、適切な圧力制御とガス漏れ防止を担う“縁の下の力持ち”です。
しかし、点検を怠ることで破裂事故や逆火、ガス漏れなどの深刻なトラブルを引き起こすおそれがあります。

この記事では、安全に作業を行うために必要な「調整器の選び方」「日常点検」「定期点検」「トラブル事例と対策」について、現場で使える実践的な内容を解説します。

1. 調整器とは?どんな役割があるの?

高圧ボンベから供給されるガスは、非常に高い圧力(数MPa)を持っています。
調整器は、この圧力を作業に適した安全なレベルに下げ、安定供給を実現する装置です。

水道の蛇口のように、ガスの“強さ”と“安定性”をコントロールします。調整器がないと、供給圧が不安定になり、事故のリスクが高まります。
酸素・アセチレン・LPGなど、それぞれのガスに適した構造と材質を持つ専用の調整器が必要です。

2. 自分に合った調整器を選ぶには?【これから購入・導入する方へ】

調整器は、ガスの種類や使用目的によって適した製品が異なります。ここでは、「これから購入を検討している方」向けに、調整器選びで必ず確認すべきポイントを紹介します。

チェック項目内容
ガスの種類酸素・アセチレン・LPGなど、用途に合った専用タイプを選んでください。
使用目的溶接・切断・加熱など、作業内容に応じて必要な圧力や流量に対応した機種を選定します。
出口圧力の範囲必要な作業条件に対して、安全かつ安定的に供給できる圧力設定が可能かを確認します。
メーカー表示型番・製造年・メーカー名の明示された、実績あるメーカーの製品を選定するのが安心です。
認証・安全表示JIS B 6803やJWAマークなど、安全基準を満たした信頼性の高い製品を選びましょう。

注意:中古品や古い製品の流用は避けましょう

調整器は高圧を扱う精密機器です。製造から7年以上経過したものや、由来の不明な中古品は、内部劣化や安全装置の不良などが起こるリスクがあり、使用前に必ず点検または交換を検討してください。

【補足】すでに調整器をお持ちの方へ

現在お使いの調整器が、以下に該当する場合は、安全のため再点検や更新をおすすめします。

  • 製造から7年以上経過している
  • ガスの種類と調整器の仕様が一致していない
  • 圧力計がゼロに戻らないなどの異常がある

3. 日常点検の方法(作業前に毎回実施)

高圧ガス調整器は、安全な作業のために毎日の点検が不可欠です。
以下の2ステップで、異常がないかしっかり確認しましょう。

【ステップ1】外観の点検

以下の項目に異常がないか確認してください。


  • 入口継手、出口継手、圧力計に破損・変形・変色はありませんか?
  • 入口継手と容器弁との接続部分に、ネジのゆるみやゴミの付着はありませんか?
  • 圧力計のケースが変形しておらず、指針がゼロ点に戻っていますか?

【ステップ2】気密の確認(ガス漏れチェック)

以下の手順で、ガス漏れがないかを確認してください。

1.圧力調整ハンドルを緩めた状態でガスを供給し、漏れ検知液で確認します。

  • 出口側からガスが漏れていませんか?

2.出口を閉止した状態でガスの使用圧力に調整し、もう一度同様にガス漏れを確認してください。

💡 注意
漏れ検知液の成分によっては、プラスチック部品を劣化させる恐れがあります。
必ず調整器に適した製品をご使用ください。

異常があれば…

点検中に不具合や異常を発見した場合は、必ずメーカーに修理を依頼してください。

点検箇所の図解

引用:日本溶接協会 JWAマークに関するパンフレット

4. 自主定期点検(年1回)

年に1回は、日常点検項目である「外観の確認」「気密試験」に加えて、次の内容を追加で点検してください。

  • 調整器の出口に栓をした状態で、入口からガスを供給し、圧力調整ハンドルを操作してみましょう。
  • 最高使用圧力まで、スムーズに調整ができますか?
    ※圧力の上昇に異常があれば、内部部品の劣化や詰まりの可能性があります。
  • 安全弁の放出口からガスが漏れていませんか?
  • 使用中に高圧圧力計の圧力が著しく低下していませんか?
    ※圧力が低下している場合は、フィルターの詰まりやガス漏れの可能性があります。必ずメーカーに修理依頼をしてください。

💡 こんな時は要注意!

  • ・圧力調整ハンドルを回しても圧力が変化しない
  • ・圧力が設定値より上がりすぎる/下がりすぎる
  • ・使用中にガスの流量が不安定になる

定期点検項目

点検項目日常点検毎年の自主定期点検
外観
外部漏れ(気密確認)
出流れ(気密確認)
使用圧力範囲の確認
圧力低下の確認

労働安全衛生総合研究所技術指針(JNIOSH-TR-48:2017)により、製造から7年超の圧力調整器は「メーカーまたは指定事業者による定期点検」または「交換」が推奨されています。

5. 点検を怠った際のリスク

点検を怠った調整器を使用すると、以下のような事故が発生する可能性があります。

  • ガス漏れ事故
  • 逆火事故・爆発
  • 調整器の破裂

特に酸素用調整器では、容器弁を急開した際に「断熱圧縮熱」が発生し、火災・発火の危険が高まります。異物の詰まり、油脂の付着、専用品以外の使用も厳禁です。

6. よくある質問

調整器の点検はどのくらいの頻度が必要?

A. 毎日の作業前に日常点検、年1回の自主定期点検、7年以内にメーカー点検を受けるのが推奨されます。

圧力が安定しないのはなぜ?

A. フィルターの目詰まりや調整不良が原因の可能性があります。すぐにメーカーに修理依頼をしてください。

油がついた場合はどうする?

A. 油脂は酸素と接触すると非常に危険です。使用を中止し、すぐに拭き取り、必要に応じて点検をしてください。

7. 正しい取り付けと使い方

  • ・容器バルブは必ず閉めた状態でスタート。
  • ・調整器を容器に取り付けた後は、必ず調整器の圧力調整ハンドルを緩め、静かにゆっくり容器弁をひらく
  • ・容器弁を開く時は、調整器の正面に立たず、側面に立って操作する
    ※万が一、調整器にガス漏れなどの不具合があった場合、圧力計の窓が割れ、メモリ針が飛び出す可能性があります。非常に稀ではありますが、安全のため必ず側面から操作してください。
  • ・ネジは手で仮止め → スパナで本締め。
  • ・使用後は容器 → 調整器の順に閉める。
  • ・調整器の各部には、油やグリスなどの油脂類を付着させたり、油脂のついた手袋では触らない。
  • ・点火した状態で圧力調整の操作をしないこと

調整器の具体的な取付方法については、調整器のメーカーさんがとても分かり易い動画を作ってくれています。
初めてご使用になる方、また使い方を改めて確認したい方は、ぜひ以下の動画を参考にしてみてください。

酸素調整器の取り付けと開栓

アセチレン調整器の取り付けと開栓

動画制作:㈱阪口製作所 

おわりに

高圧ガス調整器の正しい選び方や使い方、保管・点検のポイントを理解することで、高圧ガスをより安全に取り扱うことができます。日々の小さな確認や、異常時の速やかな対応が、重大な事故を未然に防ぐ第一歩です。
株式会社冨士山では、阪口製作所をはじめ、小池酸素工業、千代田精機、日酸TANAKAなど各種JWA認定調整器を取り扱っております。

調整器の販売はもちろん、現場に応じた選定のご相談、設置や取扱いに関するアドバイス、点検サポートまで、一貫したサポート体制でお客様を支えます。

そんなときは、どうぞお気軽に私たちにご相談ください。
冨士山は、現場のリアルな課題に寄り添い、安全と安心を届けるパートナーとして、皆さまの業務を支えてまいります。

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